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【企業法務・コンプライアンス相談室】 新たな取引先と取引を開始する際の注意点(信用調査)
【経営者からの御相談】
当社は金属製品の製造・販売を業とする株式会社です。来月から,知人から紹介を受けたA社と取引を開始することになりました。A社の担当者の話では,会社設立からまだ3か月程度の会社とのことですが,新たな取引先とをの取引を開始するにあたってはどのような点に注意すればいいでしょうか?取引基本契約書のようなものと交わした方が良いでしょうか?
【弁護士からのアドバイス】
商品を納めたが初回から代金の支払を受けられなかった等という最悪の事態を避けるため,新たな取引先については,取引開始前に,十分な信用調査を行い,未収金発生のリスクに備え,代金の支払方法や人的担保の提供等の対策を講じておくことが不可欠です。
1 信用調査について
まず,最低限,取引の相手方が法人であれば法人の登記事項証明書を確認し,本店所在地の不動産や代表者の肩書住所地の不動産の登記事項証明書を取り寄せ,その所有関係を把握して頂きます。
また,可能な限り,取引の相手方の事業所を訪問し,代表者や従業員と面談し,事業内容等の説明を受けると共に,事業設備や所有不動産の現況等を把握することも重要です(電話やメールだけで取引が開始するのは極力避けたいです。)。
さらに,相手との力関係にもよりますが,取引開始前に,相手方から直近3期分程度の確定申告書の写しの交付を受けておくことも有効です。
なお,帝国データバンク等の信用調査機関の調査を利用することで,法人の基本情報,代表者の経歴,取引銀行,資金状況などの情報が得られる場合があります。
信用調査の結果,相手方の経営状況等に不安がある場合には,連帯保証人や所有不動産の担保提供を求める等の対策を講じておくのが無難です。
2 取引基本契約の締結
上記の信用調査を経て取引を開始することとなった場合でも,いざというときの紛争解決の基準を明確化しておくために,自社で取引基本契約書を作成し,相手方と取り交わしておくことが必要です。
また,現実に取引を開始する際は,信用不安が払拭されるまでの間,商品代金の一部を前払させ,残金を納品と引き換えに支払う等の条件とすることで,債権が回収不能となるリスクを最小化しておくことが可能となります。
3 ポイント
取引先の件数が増加すればするほど,債権回収のリスクは高まります。上記のようなルーティーンを踏むことは決して困難な事ではありません。
取引開始時の信用調査は毎回必ず意識的に行って頂きたいと考えております。
新たな取引先と取引を開始するにあたり,相手方に信用不安をお感じになられている会社経営者の方,御担当者の方は,八王子駅南口徒歩1分,企業法務・コンプライアンス・契約書作成等の問題に強い,中村法律事務所に是非一度御相談下さい。